第1回 東京大学技術発表会

第1 分野 機械工作、ガラス工作

会場: 農学部1号館第4講義室
番号 時間
O1-01複雑形状部品の再加工
矢口光一(生産技術研究所)
3 月 10 日(木)
14:30-
研究室に納めたアルミ製のプロペラ8 枚が実験による不具合が生じたため、素材から製作するのではなく、現物を設計変更した上で再加工することとなった。
プロペラは一般的に形状が複雑な上、各部位の肉厚が薄く、機械工作への取り付け方法や芯出し、加工時の変形など再加工は極めて困難である。今回は、ターニングセンタという機械を使用して現物を破損することなく完成させることを可能とした。その上で解決しなければならない技術課題をまとめ発表させて頂きます。
O1-02小型送風装置の試作
高間信行(生産技術研究所)
3 月 10 日(木)
14:50-
微細構造物製作に使用する小型送風装置は微細構造物製作の場において安定した流れとその場での風速分布の一様性が必要である。このような条件を考慮しまた試作品の改良しやすい材料を配慮し、ペーパークラフトと3D プリンタの2 種類の方法で小型送風装置を試作したのでその製作方法の紹介と完成した小型送風装置の吐出部での風速分布を計測し性能比較したので報告する。
O1-03試作工場における新入職員のための技術研修
涌井勇輔(生産技術研究所)
3 月 10 日(木)
15:10-
試作工場では新入職員のために工作機械を操作して製品の加工が出来るようになるための技術研修を行っている。筆者は今年入職をして約半年の間に普通旋盤、立てフライス盤の2 つの工作機械を中心に研修を受講した。研修内容と、受講した中で得た知識、行った課題、工作方法、筆者が今まで経験してきたこととの違いについてまとめたものを発表する。
O1-04室戸地殻変動観測所への出張修理報告
三澤 徹(生産技術研究所)
3 月 10 日(木)
15:30-
東京大学地震研究所から高知県室戸岬にある室戸地殻変動観測所内の観測装置の一部(石英ガラス管)の修理の依頼を受ける。私のガラス加工は25 年以上のキャリアがあるが、ほとんどが室内での作業であり、野外での作業は未経験のためこの依頼を受けるべきかどうか迷ったが、いろいろと話し合いの結果なんとかなりそうなので、依頼を正式に受ける。
2014 年12 月に東京から室戸岬まで赴き、修理の作業開始から無事完了するまでの様子を報告いたします。

第2 分野 大型装置、実験装置、回路計測、制御、低温技術

会場: 農学部2号館 化学第3講義室
番号 時間
O2-01FPGA による狭線幅CW レーザーの実現
伊藤功(物性研究所・技術部)
3 月 10 日(木)
14:30-
スペクトルを狭線幅化したCW レーザーは光原子時計などの多岐に渡る分野で利用されている。スペクトルを狭線幅化する方法として光共振器にCW レーザーが共鳴し続けるようにフィードバック制御する方法がよく行われる。今回我々はアナログ回路に劣らない高速性、堅牢性を有しながら拡張性、汎用性、柔軟性に優れたFPGA でレーザー周波数のフィードバック制御を行い、スペクトルをHz レベルまで狭線幅化することに成功した。この技術により使う人の経験や勘の良さに依存しないレーザー装置の実現が期待できる。
O2-02CTA 大口径望遠鏡用Slow Control Board の開発
大岡秀行(宇宙線研究所・CTA グループ)
3 月 10 日(木)
14:50-
宇宙線研究所では多角的な宇宙線の観測を行っている。次世代の超高エネルギーガンマ線天文台CTA(Cherenkov Telescope Array)の準備研究が国際共同プロジェクトとして進められており、現在、口径23m のCTA 大口径望遠鏡(LST:Large Size Telescope)1号機の建設準備、開発試験が行われている。本講演では、主に初号機カメラに搭載する光検出モジュールに組込まれるSlow Control Board(SCB)について発表する。
O2-03木曽105cm シュミット望遠鏡広視野カメラ KWFC
樽澤賢一、KWFC 開発チーム(理学系研究科・理学部・技術部機器分析・実習系)
3 月 10 日(木)
15:10-
木曽105cm シュミット望遠鏡は、6 度角という非常に広い視野を持つ天体望遠鏡である。現在、天体観測に用いられている異なるメーカの2K4K のCCD チップ4 枚づつ計8 枚をモザイクした視野2.2 度角総画素数約6400画素の広視野CCD カメラ(Kiso Wide Field CCD Camera)KWFC について報告する。
O2-04スーパーカミオカンデにおけるデータ収集エレクトロニクスボードの開発
粟井恭輔(宇宙線研究所・乗鞍観測所/重力波推進室)
3 月 10 日(木)
15:30-
岐阜県飛騨市の地下1000 メートルに設置されているスーパーカミオカンデ(SK)検出器は、1996 年4 月に実験が開始されて以降、観測データを取得し続けている。体積5 万トンの水タンクに設置されている約13,000 本の光電子増倍管からのアナログ信号の情報を取り出すためのデータ収集エレクトロニクスボードは、10 年以上使い続けたデータ収集システムを一新する一環として、2004 年から新たに開発を開始し、2008 年9 月に更新された。本稿では、この新しく更新された収集エレクトロニクスボードについて報告する。
O2-05ロボットの仕組みと制御
長阪恵里、永井おりが、中垣好之、齋藤正光、山口真奈美(情報理工学研究科・知能機械情報学専攻)
3 月 11 日(金)
09:00-
情報理工学研系究科・知能機械情報学専攻の技術職員は必修科目「機械工学実験」という演習の中で、「ロボットによるライントレース」を担当し、毎年、約140 名の学部2 年生に対して、ロボット工学(ロボットの仕組みと制御)を教え、楽しみながら学べる演習を目指してきた。2015 年度でこの授業は10 年が経過しその授業の概要及び成果を述べる。
O2-06ヘリウムガス回収における純度管理のネットワーク化
八幡和志1、笹尾愛2、阿部美玲3、土屋光41 理学系研究科・理学部 技術部・物理学専攻、2 大阪大学大学院理学研究科・技術部教育研究支援室、3 低温センター・液化供給部門、4 物性研究所・低温液化室)
3 月 11 日(金)
09:20-
限られた資源であるヘリウムは、理、工分野で広く使用されており、特に低温寒剤としては液体として供給し、ガスとして回収して、循環、再生使用している。
多くの大学などで回収ガスの純度管理にピラニ式のヘリウム純度計が使われている。これは、簡易で安価であるが、異常は現認するしかない。これを解決するためのオンライン監視・発報機能を、学内外の関係部局、機関で技術情報の共有と実働を分担してプロジェクトとして進めている。本報告では、プロジェクト設計、進捗について発表する。
O2-07物性研究所低温液化室の業務内容紹介
野村未来、鷺山玲子、土屋光(物性研究所・低温液化室)
3 月 11 日(金)
09:40-
低温液化室は、物性研究所の研究支援組織の一つであり、所内はもちろんのこと、柏キャンパス全体へ液体ヘリウムと液体窒素を供給することが主な役割である。
そのために液体ヘリウムの製造、製造設備等の保守・管理業務や、低温に関する技術サービスの提供等を行っている。また、高圧ガスの適正な管理を目的として、キャンパス内の高圧ガスボンベ・製造設備の一括管理を行っている。
発表では、ヘリウムの液化システムや設備の紹介と、柏キャンパスでの寒剤・高圧ガスボンベの利用方法や管理方法について説明したい。
O2-08研究用原子炉JRR-3 における実験装置の5S 活動
杉浦良介(物性研究所・附属中性子科学研究施設)
3 月 11 日(金)
10:10-
物性研究所附属中性子科学研究施設は、日本原子力研究開発機構(JAEA)が所有している研究用原子炉JRR-3 内に、中性子散乱法を用いた実験装置を14 台所有・運営している。
今年度の活動として、東日本大震災以降停止状態が続いているJRR-3 の再稼働に向けての安全管理体制の強化としての5S 活動を推進してきた。
具体的には、老朽化または不要となった機器・物品の整理、実験装置の電源投入による健全性確認等を行っている。
O2-09MC-SNICS イオン源の特徴とメンテナンス
中野忠一郎(総合研究博物館・研究部 タンデム加速器分析室)
3 月 11 日(金)
10:30-
MALT は、最大発生電圧5.0MV を有するタンデム型ヴァン・デ・グラーフ式静電加速器を用いて加速器質量分析を中心とした精密微量分析を行っている。高精度な加速器質量分析にはイオン源における試料の高いイオン化効率が要求される。ここではMALT で使用しているマルチカソード負イオン源(multi-cathode SNICS)の原理と特徴、およびイオン化の高効率を維持する上で必要なメンテナンスについて述べる。
O2-10大気海洋研究所のシングルステージ加速器質量分析計における技術開発
阿瀬貴博1、宮入陽介2、沢田近子2、山根雅子3、横山祐典21 大気海洋研究所・共同利用共同研究推進センター、2 大気海洋研究所・高解像度環境解析研究センター環境解析分野、3 国立研究開発法人 海洋研究開発機構)
3 月 11 日(金)
11:00-
大気海洋研究所では2013 年3 月に国内では初となるシングルステージ加速器質量分析計(最大加速電圧250kV、米国NEC 社製)が導入された。本装置は4m × 5m 程度と加速器質量分析計の中では小型で、放射性炭素同位体分析に特化した装置である。施設の運用は主に共同利用共同研究推進センターが担い、装置の運用は主に高解像度環境解析研究センターが担っている。本施設は所内外から多数の研究者が利用しており、年間の装置稼働率は80% を超えている。発表では装置の概要と品質管理に関する取り組みについて紹介する。
O2-11AVF サイクロトロン入射率向上のためのペッパーポットエミッタンス測定器開発
小高康照(理学系研究科・理学部・技術部機器分析・実習系)
3 月 11 日(金)
11:20-
原子核科学研究センターは理研AVF サイクロトロンのイオンビームの増強を進めている。イオン源で生成したビーム量はAVF サイクロトロンで加速し、実験装置まで輸送すると6%となる。その損失の81%はイオン源からAVF サイクロトロン中心の間で起こる。この損失を改良する事が目的である。そのために4 次元エミッタンスを活用したビーム軌道解析が必要であり、その測定が可能なペッパーポットエミッタンス測定器を開発した。測定結果を用いてビーム軌道を計算し、原因究明をしている。この現状を報告する。
O2-12高強度高伝導度銅銀合金線を用いた非破壊パルスマグネットによる磁場開発
松尾晶(物性研究所)
3 月 11 日(金)
11:40-
磁場は物性研究を行う上で重要な物理量であり、磁場発生領域の拡大は常に求められている。強磁場を得るには、電磁石に流れる大電流による発熱と、磁場による電磁応力を考慮したコイル設計が求められる。そのひとつとして高い伝導度と強い引張強度をもつ線材を使うことが磁場発生効率を上げる鍵になる。我々は一般には両立し難い2つの特性を有している銅銀合金線で作製した電磁石を使って磁場開発を行っており、単パルスとしては世界記録となる85.8T の磁場発生に成功した。このことを中心にパルス磁場の開発状況について発表する。
O2-13ミュオンスピン回転緩和測定実験にむけたアモルファス氷成膜装置開発
河内泰三(生産技術研究所・基礎系部門福谷研究室)
3 月 11 日(金)
13:00-
アモルファス氷中の摂動場観測を目的として大強度陽電子加速器研究施設においてミュオンスピン回転緩和共鳴測定を行った。本実験で、ミュオンビームスポットは直径15mmと大きく、このビームスポットより大きな試料基板上に、平坦且つミュオンが氷中で止まるのに十分な厚さのアモルファス氷を成膜する必要があったため、アモルファス氷成膜装置を設計・製作し、実際に実験に耐え得る氷成膜に成功した。この、成膜装置設計・製作の技術的工夫点及び、実験結果について、発表する。
O2-14走査プローブ顕微鏡に関連した技術開発
浜田雅之(物性研究所・ナノスケール物性研究部門)
3 月 11 日(金)
13:20-
配属された物性研究所・長谷川研究室では、走査プローブ顕微鏡を用いて、金属や半導体の表面の物性を研究している。走査プローブ顕微鏡は、光学顕微鏡や電子顕微鏡とは測定原理が異なっていて、鋭い探針(針のようなもの)を表面に近づけてなぞるようにして、表面の情報を観察する。これまでに私が行った技術開発や日常業務について報告する。
O2-15高温高圧その場中性子回折実験に向けた新型ジャケット付きアンビルの開発
後藤弘匡(物性研究所・物質設計評価施設高圧合成室)
3 月 11 日(金)
13:40-
最近、J-PARC-MLF に高温高圧その場中性子回折用の実験ステーションが建設され、運用が始まった。しかし、立ち上げ時に導入された6-6 式高温高圧発生システムでは、高圧発生装置(油圧装置)の能力を十分に引き出した状態で試料に高温高圧を発生させる事ができなかった。我々は、上記システムの一部に手を加えて最適化する事により、油圧装置の能力をこれまで以上に引き出し、かつ、高温高圧を安定して発生させる事を可能にした。本発表では、6-6 システムやその改良内容について簡単に紹介する。

第3 分野 情報・ネットワーク

会場: 農学部1号館第4講義室
番号 時間
O3-01省電力を求められたヒトゲノム解析センタースパコンシステム
斉藤あゆむ(医科学研究所・ヒトゲノム解析センター)
3 月 11 日(金)
11:00-
医科研ヒトゲノム解析センター(HGC)のスパコンシステムShirokane3 は、理論性能が430 TFLOPS あり、空調やストレージなどシステムすべてを含み消費電力280kW(定格)で稼働している。昨今のデータセンターでは、CPU の進歩以上の電力効率向上が要求されているが、HGC でも同様であり、応えるために変化を続けてきた。空調電力の削減のため、運用方法を見直し、国内初の水蒸発式間接外気冷却、テープ装置の導入を行い、2015 年度にはPUE1.1(実測)程度を実現している。
O3-02先端研での情報インフラについて
加藤博(先端科学技術研究センター 広報・情報室)
3 月 11 日(金)
11:20-
UTnet の始まりと共に先端研でもインターネットの運用が始まり、試行錯誤しながら現在に至っている。部局によって規模と予算と目的が異なるため、何をしてどういう運用を行って行くのが望ましいのか、自問自答しながらの毎日である。ネットワーク、サーバの運用、システムの構築、セキュリティなど、身の丈に合った情報インフラの整備と体制について模索してみることとする。
O3-03学生就職業務支援のための「e就職」「e採用」サイトの構築
高橋登(工学系研究科・電気系工学専攻)
3 月 11 日(金)
11:40-
政府の方針によって、2015年度(2016年4月入社)からの学生の就職活動が大きく変わることとなった。このため、従来の専攻の就職業務では対応が困難となり、担当職員の負担も増大することから、これを支援するためのシステムの開発を専攻より依頼された。既に運用を開始し1年度が経過したためその利用状況について報告する。
O3-04理学系研究科情報システムチームでのe ラーニング業務 
南野真容子(理学系研究科・理学部技術部 共通系)
3 月 11 日(金)
13:00-
私は理学系研究科技術部情報システム管理部門に所属し、物理学専攻のネットワーク管理を担当しながら、兼務先である理学系研究科情報システムチームにて、研究科全体のネットワークインフラの管理やICT 設備の充実化、eラーニング関連業務などにも携わっている。今回は、専攻及び研究科のネットワーク担当業務を紹介するとともに、10 月に行われたノーベル物理学賞受賞会見の中継業務や研究科内でのメディアコンテンツ共有サービスの構築について説明する。
O3-05造船におけるぎょう鉄作業支援システムの構築
榎本昌一(工学系研究科・システム創成学専攻)
3 月 11 日(金)
13:20-
造船所に於いて、切り出した鉄板を設計通り曲げる作業があり、ぎょう鉄と呼ばれる。この作業の良しあしによって、その後の作業の効率に影響を与えることになる。この作業は機会による自動化はできず、作業員の手作業となるため、作業員の持つ技術、いわば、職人技である。この作業をレーザスキャナを用いての支援システムを構築した。
O3-06利用者の博物館資料検索語におけるテキストマイニング分析
安成真理(教養学部 駒場博物館)
3 月 11 日(金)
13:40-
教養学部駒場博物館に収蔵されている旧制第一高等学校の理科教育資料においては、一般利用者や初年次の学生が用いる情報検索語では、公開しているアーカイブ情報にたどりつけない。この状況を踏まえ、利用者が発 想する検索語彙についてアンケートを初めとした5種類の調査を行い、その内容をテキストマイニングの手法により分析した。求めた結果を既存のアーカイブに反映させることにより、専門家と一般利用者の情報格差を改善する。

第4 分野 フィールド計測、農林水産海洋技術

会場: 農学部1号館第5講義室
番号 時間
O4-01農学生命科学研究科7つの演習林と技術職員の業務
澤田晴雄1、鈴木祐紀2、犬飼浩3、齋藤俊浩4、栗田直明5、井上淳6、辻和明7、村瀬一隆8、米道学91 農学生命科学研究科 附属演習林 企画部、2 農学生命科学研究科 附属演習林 千葉演習林、3 農学生命科学研究科 附属演習林 北海道演習林、4 農学生命科学研究科 附属演習林 秩父演習林、5 農学生命科学研究科 附属演習林 田無演習林、6 農学生命科学研究科 附属演習林 生態水文学研究所、7 農学生命科学研究科 附属演習林 富士癒しの森研究所、8 農学生命科学研究科 附属演習林 樹芸研究所、9 農学生命科学研究科 附属演習林 教育研究センター)
3 月 11 日(金)
11:00-
農学生命科学研究科附属演習林にはH27 年11 月現在58 名(定員内)が在籍しており、そのほとんどが遠隔地に所在する7つの演習林に所属している。7つの演習林は各々が担うべき役割に沿って目標を立て、所属する技術職員はその目標実現のためにそれぞれに特徴的な技術を持って業務に取り組んでいる。今回は職場環境が本郷地区等とは大きく異なる遠隔地のフィールドで勤務している演習林技術職員の業務を紹介する。
O4-02牧場で飼養されているクリオージョ種について
遠藤麻衣子(農学生命科学研究科 附属牧場)
3 月 11 日(金)
11:20-
平成6 年にアルゼンチンのラ・プラタ大学より、教育連携プログラム終了記念に贈られたクリオージョ種について紹介する。初駒は平成8 年、現在まで30 頭以上生まれ、現在の繁殖を担っているメスは二世になっている。数年前まではサラブレッドの生産育成を行っていたが、現在はクリオージョの生産育成が厩舎が担っている仕事である。サラブレッドとの違い、今後の展望について述べていく。
O4-03NSS を用いた深海での精密試料採取
亀尾桂(大気海洋研究所 共同利用共同研究推進センター 観測研究推進室)
3 月 11 日(金)
11:40-
海洋における堆積物・海水・生物の採取や海流・塩分濃度などの物理・化学観測は、調査船からのケーブルによって吊り下げられた機器によって行われる。このため、特に深海では場所を特定したピンポイントでの試料採取や観測は容易ではない。そこで、海洋研究所(当時)では船上でビークルを操作し各種機器の切り離しや、搭載機器によるリアルタイム観測が可能なNSS を開発した。今回は、開発から10 年が経過し潜航回数が150 回を超えたNSS の概要を紹介し、NSS を用いた調査航海の報告を行う。
O4-04学外研修報告
遠藤麻衣子(農学生命科学研究科 附属牧場)
3 月 11 日(金)
13:00-
私が所属ずる牧場は茨城県笠間市に所在し、馬、牛、豚、山羊を飼養管理している。獣医師免許を所持しているがあくまで技術職員であること、外部診療を行っていない為、獣医師としての技術を磨くには外部に出向く必要が在る。これまでに業務でも私用でも参加した研修会の中でも、馬の外科技術に特化した研修会について報告、紹介する。
O4-05地震研究所技術部の概要と業務紹介
宮川幸治(地震研究所技術部総合観測室)
3 月 11 日(金)
13:20-
地震研究所技術部は23 名(2015 年11 月時点)から成り、その業務内容から「総合観測室(18 名)」「技術開発室(4名)」「情報処理室(1 名)」の3 室に分けられている。業務は地震火山観測・海域観測などのフィールド作業から、装置の開発・化学分析、並びに資料データの管理などと多岐に渡っている。技術部では例年1 月に他大学技術職員も多く参加する職員研修会を開催して見聞を広めると共に交流を深めており、また一般公開やラボツアーを通じたアウトリーチ活動にも積極的に協力している。
O4-06地震研究所の職員研修会の紹介
増田正孝、渡邉篤志、地震研究所研修運営委員会(地震研究所技術部)
3 月 11 日(金)
13:40-
地震研究所では毎年1月に技術系職員を中心とした職員研修会を開催しています。研修での主な内容は「技術発表」、「所外研修」、「特別講演」です。近年では、同じ地球物理学分野の他の大学の技術系職員、気象庁の職員、地震研究所職員研修会と交流のある駒場キャンパス技術発表会の技術系職員の方等にも参加していただいており、好評を得ております。主に今年度の職員研修会の内容や運営についてご報告いたします。

第5 分野 生物、生化学、医療技術

会場: 農学部1号館第5講義室
番号 時間
O5-01ミクロ観察系技術室の紹介
石綱史子(農学生命科学研究科・附属技術基盤センター)
3 月 11 日(金)
09:00-
農学生命科学研究科附属技術基盤センターミクロ観察系技術室では、主に電子顕微鏡室の運営と所有している機器の管理を行っている。電子顕微鏡室の利用対象者は、本研究科に所属している教職員、学生である。学生実験などの教育と、研究用のデータの取得のために利用されている。本発表では、技術職員が電子顕微鏡室で行っている業務の一部を紹介する。
O5-02三崎沿岸で得られた特筆すべき種
幸塚久典、関藤守(理学系研究科・附属臨海実験所)
3 月 11 日(金)
09:20-
明治の初めにドイツの動物学者のデーデルラインは、相模湾の動物の豊富さに驚き、その事実を世界に報じた。それ以後、三崎周辺を含む相模湾は世界でも有数な海洋生物の豊富な海域として世界に注目されてきたものの、高度成長期には、広大なアマモ場が消失し、開発や富栄養化の影響による海洋汚染などが深刻化していたのも事実である。我々技術職員は海洋生物研究や教育のほかにも、積極的な環境保全活動にも取り組む義務がある。本発表では近年、我々が行っている生物相調査で得られた特筆すべき種について報告する。
O5-03理学系研究科附属植物園日光分園(日光植物園)の紹介
清水淳子、綾部充(理学系研究科・附属植物園 日光分園)
3 月 11 日(金)
09:40-
日光植物園は小石川植物園の分園として、寒冷地や高山植物の研究と教育を目的に1902 年に開設された附属施設である。園内には約2,200 種の植物があり、大学内外の多くの研究者に利用されるだけでなく、冬季閉園を除く4 月15 日から11 月30 日までは一般にも公開されている。また、近年では日光地域を中心とした絶滅危惧植物などの系統保存を担う施設としても重要な役割を果たしている。本発表では、あまり知られていない植物園の業務を紹介する。
O5-04理・附属植物園の業務紹介と温室改修について
竹中桂子(理学系研究科・技術部 生命科学系)
3 月 11 日(金)
10:10-
理学系研究科附属植物園は、小石川植物園の通称で知られ、2012 年には国の名勝および史跡に指定された日本最古の植物園である。勤務する技術職員は、6 名。非常勤職員を入れると11 名で約16 万㎡の園内の植物を管理している。本発表では、メンバーの担当業務の紹介と本年度本格的に始動した、公開温室の改修工事に関わる業務について報告する。
O5-05損傷からの凶器の推定
中嶋信(医学部・法医学教室)
3 月 11 日(金)
10:30-
法医学の実務で、損傷は、骨などの硬部組織と、皮膚、脂肪、筋肉、臓器などの軟部組織に残された傷に別れる。硬部組織からは、鋸などの凶器の痕が残りやすく、柔部組織からは、包丁などの凶器が推定できることがある。実際の事例に損傷が、それらの凶器によって形成されるかを、いくつかの動物の組織を使用して、比較検討したところ鋸では縦挽きと横挽きの区別が、可能であった。刃物では、創洞の長さがある程度推定できた。

第6 分野 実験・実習、分析、環境安全、地域貢献

会場: 農学部2号館 化学第1講義室
番号 時間
O6-08作業環境測定業務の実態把握および技術的・管理的改善
平川拓洋、加藤智弘(工学系研究科・工学系等安全衛生管理室)
3 月 10 日(木)
14:30-
工学系等安全衛生管理室では各種分析装置・器具を管理しており、独自に分析測定業務を行っている。工学系研究科および情報理工学研究科に所属する研究室等の作業環境測定業務の一部も重要な業務の一つである。その重要性にも関わらず、分析精度、文書作成・管理、または各研究室との連携といった面において必ずしも十分な業務といえない部分が見出された。そこで、作業環境測定に関わる技術的・管理的な問題点や課題を抽出し、それらの解決を行った。
O6-09当研究科における事故災害の特徴
粟田孝(農学生命科学研究科・環境安全管理室)
3 月 10 日(木)
14:50-
当研究科では多種多様な教育研究活動が行われており、日常的に多くの実験や野外活動等が行われている。そのため、当研究科では一般企業等で行われる安全活動手法の一つである労働安全マネジメントシステムを教育研究活動向けに修正し、教育研究安全衛生マネジメントシステムとしてユニット(主に附属施設や研究室)単位で導入することで日々の安全活動を推進している。
今回の発表では、過年度からの当研究科の事故災害統計を踏まえ、その特徴と再発防止の取り組みについて紹介する。
O6-10福島原発事故後の柏キャンパスでの対応
野澤清和(物性研究所)
3 月 10 日(木)
15:10-
2011 年3 月14 日の水素爆発により放射性物質の大気中への放出が起きた。このとき東京大学の放射線取扱施設関係者が何を行ったかを報告したい。その後設立した東京大学の環境放射線対策プロジェクトに依頼されて行った福島でのスクリーニング派遣での状況についてどのようなことを行ったかを報告したい。また、ホットスポットと呼ばれる地域でどのような対応を行ったかを柏キャンパスで行った事例等を報告したい。
O6-01物理学生実験における技術職員の業務
佐伯喜美子、八幡和志(理学系研究科)
3 月 11 日(金)
10:10-
理学部物理学科の学生実験において個別テーマでの実験の指導、準備、教材開発、機器更新などの業務と会計管理や運営などの全体的な業務を行っている。実験テーマの一つである” 真空技術” では、機器の老朽化に伴い、真空ポンプや質量分析計の機器更新を行った。特に、質量分析計は、ブラウン管表示、リニア出力のみだった旧機種から、PC 制御でリニア・対数出力に対応したことで、測定のダイナミックレンジが大きくなり、微少なガスも測定できるようになった。また分圧の経時測定が可能になったことで、ガス吸着の挙動が可視化できた。
O6-02平成27 年度技術職員研修「分析化学における不確かさ研修」の実施
半澤明範、藁谷英樹、上坪和子(理学系研究科)
3 月 11 日(金)
10:30-
数値によって測定の結果を表す場合、複数回の測定によって得られる値はばらつきを伴う。ばらつきの合理的な表現手法として「不確かさ」という考え方が国際的に普及しつつある。国内では日本電気計器検定所などいくつかの機関で不確かさを扱ったセミナーが開催されている。発表者のうちの1 名が不確かさに関するセミナーを受講し、学内の技術職員の業務に活かして欲しいとの思いから、表題の研修を提案し、平成27 年度の技術職員研修として採用された。この研修の内容について発表する。
O6-11社会貢献業務の自己評価に向けた分析方法の提案
西山教雄、辻和明(農学生命科学研究科・富士癒しの森研究所)
3 月 11 日(金)
11:00-
大学の社会貢献の重要性が増しているが演習林の社会貢献業務は多種多様であり、社会貢献の業務内容や掛かる労力のバランスなど、全体を把握するのが困難である。社会貢献業務について自己評価するためには、社会貢献業務の中身を分析することが不可欠であり、様々な社会貢献業務を整理し、現状を把握するための分析方法を検討したので報告する。
O6-03超微小押し込み硬さ試験機による機械特性評価実験
浅川武(工学系研究科)
3 月 11 日(金)
11:20-
半導体デバイス、情報蓄積メディアなどで使用されている薄膜は、デバイスの微小化・極薄化が進行し、薄膜材料の機械的特性評価の必要性が重要視されつつある。その方法の一つとして、押し込み荷重をμN オーダーにて制御が可能となり、この時の圧子の試料への進入深さをnm の分解能で測定するナノインデンテーション法が用いられるようになった。これを利用して、材料特性評価の一つである弾性率の測定実験を実施したので報告する。
O6-04空気の流れの可視化
高橋岳生(生産技術研究所)
3 月 11 日(金)
11:40-
可視化という技術は、電子画像技術の発達と共に急速に発展している。私は主に建物周辺の風環境に関する風洞実験を行っているが、その際、可視化は流れの構造を理解する上で有効な手段の一つである。応用例として、タンポポの綿毛がつくる渦やゴルフボール、ピンポン玉がつくり出す渦など、身近に起こる空気の流れ事象を対象とした可視化の例を紹介する。
O6-05熱水法による炭酸バリウムの合成と電子プローブマイクロアナライザによる鉱物の定量分析への応用
市村康治(理学系研究科)
3 月 11 日(金)
13:00-
電子プローブマイクロアナライザによる炭酸バリウム鉱物の定量分析のための標準試料として有効な炭酸バリウム結晶を熱水法により合成した。塩化バリウムと尿素を含む水溶液を200℃で45 時間の加熱を行うことにより、十分な大きさ(>30μm)の平滑面のある試料を得ることができた。この合成試料を標準試料として用いると、従来のニオブ酸ストロンチウムバリウム単結晶を用いた場合よりも炭酸バリウム鉱物の定量分析の合計値はより理想的な結果が得られた。
O6-06ハロゲン・硫黄元素分析のための技術検討
上坪和子(理学系研究科)
3 月 11 日(金)
13:20-
理学系研究科の有機元素分析室では、試料中の元素比率(重量%)を知るための元素分析に特化した業務を行なっている。ハロゲン・硫黄元素の分析も受託しており、酸素フラスコ燃焼法で試料の前処理を行ってからイオンクロマトグラフィーで定量する方法を採用している。本発表ではシェーニガーによる初出(原著論文)のご紹介から始め、多種多様な依頼に応えるためにこれまで続けてきた検討の過程について、細かい部分も含めて議論したい。
O6-07赤外線放射温度計では測定不可能な水中で温度変化をする物体の可視光による温度測定
上村光宏(生産技術研究所)
3 月 11 日(金)
13:40-
赤外線放射温度計では測定不可能な水中の物体の温度変化を測定する為に、水中での減衰が赤外線と比較して極めて少ない可視光を用いて、物体のビデオ映像を解析して可視光の特にRGB(赤色、緑色、青色)の放射強度変化を温度に変換する手法を確立した。その結果、水中での物体の温度測定を離れた場所からビデオ撮影することで可能となり、工業的に極めて広範囲の分野に応用されることが予想され、工業に留まらず料理など一般社会生活にも応用されることが考えられ極めて有意義である。