2019.09.04技術交流会について

技術発表会の目的である技術の向上を図るために、第3 回では、口頭発表に代えて、技術交流会を実施します。

技術分野や横断的テーマに分かれて、見学や討論、専門家による講演や実習、事例紹介といった内容を、各交流会の主催者が創意工夫して実施するものです。

技術交流会に参加される方は、参加登録申込みの際に技術交流会の参加区分を選択してください。

2019.09.04技術交流会要旨

科学教育

我々技術系職員は、教員とともに大学教育の現場において、様々な業務を担当している。これまで、総合技術研究会2017および第2回東京大学技術発表会では、学生実験室の見学会が開催されてきた。その中で配置場所の異なる技術系職員との情報交換は、学生実験業務を遂行する上で、参考になる部分が多いことが分かっている。

今回の技術交流会では、教育に携わっている技術系職員の視点で、学生実験の現場での指導の仕方、学生との接し方などについて話題を提供していただき、教育現場における現状、気付きや工夫などを参加者と討論する。本交流会が、技術系職員が大学教育に貢献するアイデアを共有する場となることを望んでいる。

学生実験や実習の教育の業務に関わっている方も、他の業務を行っている方も、気軽に参加していただきたい。

顕微鏡 ‥‥顕微鏡による画像取得及び解析技術とその活用

顕微鏡の歴史は古く、医学、生物学を始めとする様々な分野において欠くことのできない研究機器の一つとして活用されてきた。近年、顕微鏡の進歩は目覚ましく、新たな技術を導入した顕微鏡が開発され続けている。このような中で、日々の業務で使用している顕微鏡に関する知識や情報、画像取得及び解析技術などの話題を提供し合い、技術および情報交換の場を持つことで、技術職員の技術の向上を図りたい。

具体的には、業務で使用している各種顕微鏡(光学、共焦点/多光子レーザー、電子顕微鏡等)に関する知識や画像取得及び解析技術、ビッグデータの取り扱いについてなどに関する話題提供を行い、議論する。また、各部局における最新機器や共通機器などの顕微鏡に関して、管理方法や利用状況などについても情報交換できればと考えている。さらに時間があれば、共通機器室の見学会なども企画したい。

本交流会では、できるだけ様々な分野の方々と意見交換ができるよう、部局を問わず、多くの方に参加していただきたい。

文化財保護 ‥‥古典絵画の技術を探る

史料編纂所は、奈良時代から明治維新期までの国内外に所在する日本史史料の研究・編纂・出版を行う研究所です。その中で、史料保存技術室は修復・影写・模写・写真の各分野に分かれ、各々の専門を生かした技術により、歴史史料の複本作成、史料の保存・修理を行っています。模写は、肖像画や絵図などの古典絵画史料を的確に写すことや、原本が描かれた当時の状態に復元する仕事を行っています。模写の技術は、失われつつある古典技術を継承する行為でもあるのです。

模写の作業状況や作業用具などの説明を交え、合せて歴史史料の修理や文書の写しを行っている現場を見ていただくことで、古典絵画についての知見を深めてもらいたいと思っています。

また、歴史史料を対象とした顔料の調査を、顕微鏡や分光器などを使用していることから、機器に関する助言や情報交換の交流を行いたいと思います。

機械工作 ‥‥機械工作施設の現状の共有

実験装置作製のための機械工作施設は、大学での研究・教育には欠くことのできないリソースである。近年は、電子制御による自動工作機械の進歩も目覚ましく最新の工作機械や工作技術についての知識や情報のフォローも重要になっている。しかしながら、大学の予算不足は常態化しており最新の工作機械の導入にも限界があり、さらに機械の問題だけでなく熟練職人の高齢化や外注先となる町工場の閉鎖なども加速しており、大学の研究・教育をささえる機械工作の未来は明るいとは言えないのが現状である。

そこで、機械工作業務を担当する技術職員が、各部局の人員の状況、所有する工作機械、実際の工作事例などの話題を提供しあい、技術の向上を図るとともに、情報交換を行うことで機械工作施設の現状を把握し、これからの機械工作業務についての議論を行いたい。

ドローンに代表される無人航空機 ‥‥ドローンに代表される無人航空機(UAV)によるデータ取得技術とその活用

近年、新たな技術としてドローンに代表される無人航空機(UAV)が登場し、高解像度の空中写真・動画を比較的安価に撮影できるようになった。例えば農学生命科学研究科附属演習林では単純にUAVにより撮影した写真および動画のデータから見た目で情報を得ることや説明資料として使うなどして活用している。さらに北海道演習林では得られたデータからオルソ画像やデジタル表層モデルを作成して森林管理図面作製の省力化に向けて取り組むなど、より応用的な活用が始まっている。

これまで行われてきた第1回、第2回東京大学技術発表会、総合技術研究会2017においてもUAVに関連した発表が幾つか、複数の部局からあった。そこで第3回のこの機会に、各部局の技術職員がUAVにどのように関わり活用しているのかを改めて話題提供し合い、本交流会を技術および情報の交換の場としたい。

既にUAVで業務を行っている方も、勉強中の方も、気軽に参加いただきたい。

電気電子情報・機器

大学には様々な計測装置があり、皆さんそれぞれがノウハウをお持ちだと思います。

一方、近年OSが動く高性能のワンボードマイコンが各社から発売され、それらを用いた教育研究もあちこちで行われるようになり技術職員が扱う場面も出てきました。

そこで今回は前半で主に計測装置(ジャンルは問いません)についてノウハウ、テクニックなどについて議論し、後半ではRaspberryPi ZEROを用いた講習会を開きます。

前半のディスカッションでは議論を深めるため5~10分程度のプレゼンテーション(ライトニングトーク)を行っていただける方を募集します。内容は問いません。今回は口頭発表がありませんので、それに代わるものとしてご利用ください。

後半の講習会では、貸出できるマイコンボードの数に限りがあるため定員を設けさせていただきますが、ご自分でご用意できる方については別枠を設けます。

放射線応用 ‥‥アイソトープ総合センターの放射線施設見学と技術交流

私は放射線管理を専門としておりますので、施設見学を通じて、放射線施設管理、個人管理などの技術交流ができればと思います。

「放射線施設を見たい」という技術職員も含めてご参加ください。

センター教員の協力により、動物実験における放射線イメージング研究、放射線計測に関する技術交流も合わせて行います。

交流会では、施設見学を共通として、「管理」、「イメージング」、「計測」に分かれて技術交流を行います。

低温技術 ‥‥液体窒素、液体ヘリウムの使い方

現在、本郷キャンパス内では約50棟の建物で液体窒素や液体ヘリウムが 様々な目的・用途に使用されている。特にヘリウムリサイクルシステムは 参加する研究分野の多様性が特徴のひとつとなっている。

この技術交流会では「液体窒素」「液体ヘリウム」「低温技術」が キーワードとなる日常業務上の課題共有や情報交換を行なう。

前半に液体窒素供給設備と新たに増設導入した本郷キャンパスヘリウムリサイクルシステムと、液体ヘリウムを使用する学内共同利用実験設備の見学会を行なう(事前申込制)。

後半では液体窒素や液体ヘリウムの使用に関するフリーディスカッションを行なう。低温実験に関する技術的な課題共有や情報提供、学内寒剤の供給や共同利用装置の使用に関する相談などもお待ちしております。

歴史的建造物 ‥‥

東京大学本郷キャンパスに現存する歴史的建造物および銅像の見学をとおして、建造物の維持、更新および大学キャンパス計画に関する意見交換、技術交流を行う。

機器分析 ‥‥機器分析の現状について

かつては機器分析に携わる技術職員は多数存在し、大学の研究を支えるために必要不可欠な存在でした。しかし昨今、科学技術の進歩は目覚ましく、機器の進歩には目をみはるものがあります。担当していた分野のユーザーが多ければ多いほどその機器はどんどん進化し、自動化して誰でも簡単に使用できる機器になります。依頼分析は外注にとって代わられることもあります。

しかし、技術職員はこの中にあっても技術の継承をしていかなければいけません。本日はこうした状況の中で本学の教育、研究に機器分析の基本原理から十分理解し、高い技術をお持ちの様々な分野の方々から技術の伝承またパワーをもらって帰って頂ければと、この場を設けさせて頂きました。

機器分析の変遷について理学部・農学部から、さらに機器分析の多様性・専門性について工学部・理学部から話題提供して頂き機器分析にたずさわる方のみならず、様々な分野の技術職員の方の情報交換の場として企画させて頂きました。

(c) 第3回東京大学技術発表会 実行委員会
東京大学総合技術本部