2022.02.22口頭発表プログラム

第一会場

セッション 1-1 9:35 ~ 10:15

第2分野 大型装置、実験装置、回路計測、制御、低温技術
座長: 阿瀬 貴博(大気海洋研)

2-01 3D プリンタで試験装置作ってみた
●久野 洵(工学系研究科)

2020 年度の 1 月、3D プリンタに可能性を感じ Alibaba で個人輸入をしましたが、結果としてそれは研究に生かされることとなりました。翌年には研究室で 3D プリンタを購入しました。3D プリンタにより、今まで工場等に外注したり、手作業で切ったり張ったりで作成していたような部品を、何度も、簡単に製作する事が出来るようになりました。本発表では 3D プリンタの有用性を説明するとともに、実際に製作された試験機をご紹介します。

2-02 東大タンデムの現状と加速器質量分析における技術開発
●徳山裕憲A、山形武靖 A、土屋陽子A、戸谷美和子A、松崎浩之A,B (総合研究博物館A、工学系研究科B)

東京大学タンデム加速器研究施設では、最大加速電圧 5MV のタンデム型加速器を運用しており、加速器質量分析(AMS)、核反応分析、PIXE 分析などの実験を通して、研究・教育の場として学内外問わず幅広く利用されている。今回はタンデム加速器とその周辺設備の運用状況に加えて、AMS における研究や技術開発の状況について報告する。

セッション 1-2 10:30 ~ 11:50

第6分野 実験、実習、分析、環境安全、地域貢献
座長: 石井 梨恵子(物性研)

6-01 摂餌されたマイクロプラスチックの微細構造を観察するための分離精製技術の検討
●小川展弘、打田麻夕子(大気海洋研究所 共同研究推進センター 陸上研究推進室)

マイクロプラスチック(MP)による海洋汚染問題は世界的な関心となっている。MP は多くの水産生物の体内に取り込まれていることが報告されてきたが、誤飲した MP の微細な形態を観察する方法はなかった。本研究では酵素消化と密度勾配遠心法により珪藻とマイクロビーズを分離できる可能性を見出した。さらに本技術を用いて実際にアサリの糞からマイクロビーズの精製できるか検討したので報告する。

6-02 マイクロプラスチック研究で使う蛍光マイクロビーズの微細構造解析
●小川展弘、羽山和美、打田麻夕子(大気海洋研究所 共同研究推進センター 陸上研究推進室)

マイクロプラスチック(MP)による海洋汚染問題は世界的な関心となっている。実験室内での MP 研究の多くは蛍光標識されたマイクロビーズを材料に研究が進められてきた。しかし、マイクロビーズの微細構造が明らかにされておらず詳細な解析は難しかった。そこで本研究では、広く利用されているマイクロビーズを電子顕微鏡で観察し、その特徴を明らかにした。さらに紫外線照射による劣化の過程も明らかにしたので報告する。

6-03 電子線マイクロアナライザの利用計画書テンプレートの作成
●市村康治(理学系研究科・理学部)

電子線マイクロアナライザを用いた実験により最大の成果を得るためには,実験技術に習熟した実験補助者と科学研究を行う実験者との間で綿密な打ち合わせを行い,周到に準備を行うことが重要である。本発表の利用計画書テンプレートを用いることにより,電子線マイクロアナライザの実験に関する打ち合わせについて実験者との意思疎通をオンラインで効果的に行うことが推進される。

6-04 SEM-EDX 分析による水酸基分布の可視化法について
●山㟁崇之(工学部・応用化学専攻)

本件では、試料に最適な水酸基誘導体化条件を検討し、包埋処理及び SEM-EDX による官能基観察を行う手順を紹介する。試料により条件を変える必要があるが、ミクロスケールでヘテロな試料の特性を観察する上で有用である。本件では水酸基をトリフルオロ無水酢酸で誘導体化し、フッ素をマーカーとして水酸基分布を可視化した。さらに、吸着元素のミクロスケールでの可視化法の結果と照合する事で、官能基の役割についても検討可能であった。

セッション 1-3 13:15 ~ 14:15

第6分野 実験、実習、分析、環境安全、地域貢献
座長: 野澤 清和(物性研)

6-05 ツイスト2層グラフェンの電子状態
●飯盛拓嗣(物性研究所・ナノスケール物性研究部門)

グラフェンは炭素がシート状に結合した2次元物質であり、一般的な半導体とは異なる特異な電気特性を持つことから、基礎研究に加え、デバイスへの応用という観点からも注目されている。更に、2層グラフェンを互いに数度傾けたツイスト2層グラフェン(TBG)は、単層グラフェンに見られない新奇な物性が報告されている。SiC 上に作成した TBG の電子状態について角度分解光電子分光を用いて測定したので、その結果について発表する。

6-06 酸素フラスコ燃焼法-イオンクロマトグラフィー法における陽イオン交換カートリッジの使い方
●坂本和子(理学系研究科・理学部)

ヨウ素を除くハロゲンと硫黄の定量分析を酸素フラスコ燃焼法-イオンクロマトグラフィー法で行っている。金属を含む試料を分析する場合、前処理後の吸収液中で金属イオンが目的のイオンと結合して分析を妨害する場合がある。これを防ぐために陽イオン交換樹脂に通液して除去する方法が知られているが、フッ素の分析では水素イオンに交換するタイプの樹脂が充填されたカートリッジは適さないことがわかったので報告する。

6-07 短寿命 α 線核種 211At の飛散率実測
●小坂尚樹、野川憲夫、桧垣正吾、和田洋一郎(アイソトープ総合センター)

短寿命α線核種 211At は、空気中に飛散して作業者が吸入することによる内部被ばくや身体汚染に特に注意を要する。そのため、非常に厳しい濃度基準が適用されている。放射線施設での使用申請時には、保守的な仮定に基づいた過剰な飛散率での計算が求められている。本研究では、現場での実測により、211At の室内空気への飛散量を測定し、飛散の実態を明らかにした。

セッション 1-4 14:30 ~ 15:30

第6分野 実験、実習、分析、環境安全、地域貢献
座長: 栄 慎也(工)

6-08 技術職員によるベンチャー企業支援の取り組み
●矢口雄大(工学系研究科)

近年、大学の機能として教育・研究の外に産業界との連携、特に大学発を含めたベンチャー企業への支援を求められる傾向が強まっている。工学系研究科では、ベンチャー工房として 3D プリンタ、3 次元測定器を中心とした設備をベンチャー企業向けに提供しており、ハードウェア開発の支援を行っている。本発表では現在までの支援事例と、今後の展望を述べる。

6-09『大気海洋研究所 手作り 3D 模型』の理科副教材としての活用の試み ~その準備状況と今後の予定について~
●羽山和美、 小川展弘、 阿瀬貴博、 打田麻夕子(大気海洋研究所 共同研究推進センター)

我々がアウトリーチ用教材として独自に開発した「手作り 3D 模型」は、連続スライス画像を元にした、立体物を再現出来る仕組みを持つ教育教材である。これまでに模型の高度化を図り、その効果的な活用法を探って来た。そして現在、模型の理科副教材としての活用を目指して、教育委育会や現場の理科担当教員との連携を取りながら教育現場への展開を始めようとしている。今回は、この試みと今までの準備状況について紹介する。

6-10 北海道演習林における、小学生親子向けオンラインセミナー実施報告
●木村 恒太、 小林 徹行、 井上 崇(農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林)

コロナ禍で、体験型プログラムをオンラインで実施する取り組みが急増している。こうした状況の中、北海道演習林では 2020、2021 年度に小学生親子を対象としたオンラインセミナーを開催した。2021 年度は参加者と双方向の関係を意識するだけでなく、参加者へ送付した植物試料を用いて植物標本作成を行うことで「バーチャル」と「リアル」を融合した体験型とした。本発表では、2021 年度のセミナー内容と運営機材やシステムについて報告する。

第二会場

セッション 2-1 9:35 ~ 10:15

第3分野 情報・ネットワーク
座長: 加藤 博(先端研)

3-01 室温通知システムの構築
●増田 均、小川大典(情報システム部情報支援課)

業務上管理するサーバー室の室温を温度センサで測定し、rasbpberry pi により eduroam 経由で google スプレッドシートに送付記録し、GAS によるメールや slack により、管理者に通知する仕組みを構築したので報告する。

3-01 大気海洋研究所におけるウェブサイトの管理・運営
●森山彰久A,B、小川容子B、近藤晴奈B(大気海洋研究所 共同研究推進センターA/広報室B

大気海洋研究所のウェブサイトの管理/運営は、所の広報委員会とホームページ小委員会の下、広報室に所属する技術専門職員 1 名(兼務)、技術員 1 名、事務補佐員 1 名が分担しておこなっている。コンテンツの作成や更新はクラウド上で作業者がおこない、承認管理者の確認後に公開用ウェブサイトにアップロードするというシステムになっている。日常の作業および、過去に実施したサイトリニューアルについて紹介する。

セッション 2-2 10:30 ~ 11:50

第4分野 フィールド計測、自然観測、農林水産海洋技術
座長: 渡辺 知明(農)

4-01 観測機材管理システムの開発
●田中伸一、増田正孝、中川茂樹、酒井慎一(地震研究所)

地震研究所は,地震計をはじめとする多様な観測機材を所有し,全国の研究者と共同で地震・火山現象等を包括的に理解するために様々な観測を実施している.多種多数の機材を複数人で使用することもあり,その組み合わせも様々であるため,機材を効率的に運用・管理するためには各機材の現在の状態や使用履歴,将来の使用予定などの情報が適切に管理されている必要がある.そこで,機材管理システムの開発を行った.

4-02 マニュアル動画による技術の伝達と共有
●岸本光樹(農学生命科学研究科・附属演習林 生態水文学研究所)

技術職員の業務において、その技術の引継ぎが重要になるが、現場技術には文章化が困難な部分もあり、口伝による引き継ぎも多く残っている。そこで、これまで文章による引継ぎ資料ではイメージすることが難しかった作業や、口伝により引き継がれてきた作業について、ウェアラブルカメラにより動画を撮影し、いつでもどこでも繰り返し自己学習ができる形でのマニュアル動画の作成を試みた。

4-03モニ 1000 愛知赤津サイトで実施している毎木調査の方法
●澤田晴雄、岸本光樹、梁瀬桐子、丹羽悠二、井上 淳(農学生命科学研究科・附属演習林 生態水文学研究所)

愛知県瀬戸市に位置する東京大学演習林 生態水文学研究所 赤津研究林には、2004 年に設置された環境省モニタリングサイト 1000・愛知赤津サイトがあり、2004 年から毎年 11~12 月に毎木調査を実施している。調査項目は樹種、樹木の生死、地際から 1.3m 部の幹直径(以下、DBH)である。調査は記録係 1 名、DBH測定 2 名を 1 組として実施している。今回は本サイトにおいて実施している調査の方法と、一例としてこれまで 15 年間の調査結果を紹介する。

4-04 千葉演習林で実施されたマツ材線虫病に対する抵抗性マツの選抜育種
●米道 学、 軽込 勉、 鈴木祐紀、塚越剛史、里見重成(農学生命科学研究科・附属演習林千葉演習林)

千葉演習林では,1978 年度からマツ材線虫病に対するアカマツの抵抗性選抜育種をオリジナルな手法で実施している。2018 年度からは,選抜された個体群の再検定を林木育種センターと共同で実施している。クロマツにおいては,2006 年度から千葉県と共同で抵抗性選抜育種を実施している。本発表では,千葉演習林における一連のマツ材線虫病抵抗性選抜育種の取り組みについて紹介する。

セッション 2-3 13:15 ~ 14:15

第4分野 フィールド計測、自然観測、農林水産海洋技術
座長: 犬飼 浩(農)

4-05 田無演習林におけるナラ枯れ被害の発生
●相川美絵子、栗田直明(農学生命科学研究科)

田無演習林において 2020 年にナラ枯れ被害木が初めて発見された。ブナ属を除くブナ科樹木を対象に、病原菌を運搬しているカシノナガキクイムシによる穿孔被害の有無や生枯の調査を行ったので報告する。また、ナラ枯れ被害の拡大を軽減するために実施した対策について紹介する。

4-06農学生命科学研究科実務研修成果報告 ─北海道演習林での研修─
●高野充広(農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林)

農学生命科学研究科の実務研修制度(試行)を活用して北海道演習林にて研修を受けた。天然林での森林調査では最新技術であるドローンによる空撮写真の撮影と室内でのデータ処理によるオルソ空中写真の作成技術の習得、また、直営素材生産事業における造材作業では北海道演習林特有の集材から採材、椪積までのシステムの実務体験、さらに近年多発する災害復旧関連業務の情報交換など多岐にわたって技術交流をすることができた。

4-07 低価格な 2 周波 RTK-GNSS 受信機の森林内での測位精度
●平間睦樹A、中川雄治A、福士憲司A、千井野聡A、江口由典B(北海道演習林A、樹芸研究所B

北海道演習林では、森林内の測量に複数の GNSS 受信機を使用している。2020 年度から、従来機種と比較して安価だが高性能である GNSS 受信機 DG-PRO1 を導入した。そこで、どのくらいの精度が出るのか、森林内の樹冠下で測位方法や測位時間、測定アンテナなどを変更し、どの測定方法が高精度な測量を行えるのか調査した。測位方法は単独測位、RTK、精密単独測位(PPP)などの 6 種類を試した。本報告ではそれらの測量精度の結果について紹介する。

セッション 2-4 14:30 ~ 15:30

第5分野 生物、生化学、医療技術
第7分野 土木、建築、都市工学、文化財保存技術
座長:渡邊 太朗(大気海洋研)

5-01 ハスの狭畝栽培法の検討
●石川祐聖A、入江 猛B(農学生命科学研究科附属生態調和農学機構A、農学生命科学研究科附属牧場B

ハスは地下茎が前と横の両方向に広がって生育するため、栽培には広い面積が必要となり、使用する土と水の量も多くなる。栽培の省力化を目的として、幅 15cm 深さ 15cm のU字溝を用いて作成した長さ 24m の狭畝で栽培試験を行った。供試した‘大賀蓮’と‘緑地美人’ともに倒伏などの障害がなく生育することが確認できたことから、ハスは狭い環境でも栽培が可能であるという結果が得られた。

5-02 三崎臨海実験所における教育棟水槽室の紹介
●幸塚久典、曲輪美秀、川端美千代(理学系研究科附属臨海実験所)

令和 2 年(2020 年)7 月、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所の教育棟が竣工された。教育棟には、様々な海洋生物をストックできる水槽室が準備されている。本発表では、教育棟水槽室のオリジナルに設計した集合水槽や各水槽仕様などについての紹介の他に現在までに行なった見学実績などについても報告する。

7-01 Sentinel1 を使用した InSAR 解析
●中園悦子、竹内 渉(生産技術研究所・第五部)

調布の道路陥没事故と伊豆の土石流の現場に、SAR 衛星である Sentinel1 のデータを用いて InSAR 解析処理を行い、その結果を考察した。


(c) 第4回東京大学技術発表会 実行委員会
東京大学総合技術本部